2012年2月19日日曜日

生活者の消費意識が、企業の社会貢献を変える。

社会貢献志向の消費行動は「ソーシャル消費」などと呼ばれますが、最近では「エシカル消費」という言葉を耳にすることも増えてきました。
みなさんは、社会貢献を意識した買い物をしたことがありますか? あるいは、できるだけ社会貢献に熱心な企業の商品を買おう、と思ったことは?


エシカルなコンシューマーが増えている?

「エシカル」とは「道徳的」「倫理的」という意味を持つ言葉ですが、環境問題にとどまらず、教育や医療など多様な社会問題を包括した概念として使わ れているようです。例えば、「倫理的に正しい商品やサービスを選択しようという人たち」をさして、「エシカルコンシューマー」というような言い方がされま す。

いわゆるアラフォーを中心とする女性や、20代の若い層、シニア層などに、特にこの意識が高いと言われています。モノが売れないこの時代でも、「社 会貢献をうたえば売れる」などと言われ、雑誌などでも、社会貢献特集が組まれているのを目にすることも少なくありません。また、インターネットの普及が、ソーシャルなマインドを高めていることもあるのかもしれません。

NPO、NGOとのコラボレーションは、企業のマーケティングとしても注目。

そんな中で、NPO、NGOとのタイアップが、CSR観点だけではなく、企業の「マーケティング」としても注目されています。従来の人気タレントや スポーツ・イベントとのタイアップに代わり、人気の高いNPOや注目されているNGOを企業が支援し、ブランディングや商品プロモーションに活用するとい う手法です。「コーズマーケティング」という言葉を耳にする機会も増えてきました。

少し古い例ですが、ユニセフとタイアップしたボルヴィックの「1L for 10L」プログラムは、ボルヴィックの水を1L買うと、アフリカに清潔で安全な水が10L提供されるというもので、このプログラムにより、ボルヴィックは 対前年比131%の売上げ増を達成し、シェアも伸ばしたという例は有名です。

最近では、乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進すること、などを目的とする世界規模の啓発キャンペーン、ピンクリボン(Pink ribbon)活動があります。日本でのピンクリボン運動活動組織には、NPO法人「J.POSH」(Japan Pink-ribbon of Smile and Happiness)などがありますが、りそな銀行、アストラゼネカ、アテニア化粧品、エイボン・プロダクツ、東京海上日動あんしん生命、ワコールなど、 協賛する企業も多く、啓発イベントの協賛や、ピンクリボン対象商品の売り上げの一部を寄付するなどのかたちが見られます。


こんな本も出版されています。
購入代金の一部が恵まれない子供たちを救うために寄付される商品や、フェアトレードされ途上国の自立を支援できる商品など、コーズブランドを集め、それぞれの社会への活動や支援の内容を紹介しています。
この本自体もコーズブランドで、売り上げの一部がアジア・コミュニティ・センター21(ACC21)に寄付され、アジアの貧困を半減させるための活動を支援するために使われるそうです。
アマゾンで見るなら









実際には、どのような取り組みがあるのだろう・・・と、
ネットで探してみました。

消費を通じて社会貢献できるサービスは、探せば意外と身近なところにもありそうです。

社会貢献型商品の総合情報サイト「SoooooS(スース)」

「SoooooS(スース)」は、社会貢献につながる商品やサービスの情報を集めたポータルサイト。寄付つきやフェアトレード 、エコやオーガニックなどの商品を、社会的取り組みやクチコミなどから探せる。普段の買い物で実現できる、気軽な社会貢献をめざしている。

普段の買い物が社会貢献に。「SoooooS(スース)」のサイト









「オカイモノ」で社会貢献。
リユースの促進と、社会貢献の手法を提供するサービス、
「ソーシャルネット」。

生活者のもつ品物を「ソーシャルネット」が買取、および販売することにより、売買それぞれの代金の5%が生活者ならびにソーシャルネットからの寄付 として指定する団体に寄付される仕組み。「ソーシャルネット」 は、生活者の寄付というアクションへの賛同のかたちとして、生活者からの寄付金と同額を加算している。
株式会社大丸松坂屋百貨店が運営し、特定非営利活動法人パブリックリソースセンターと提携し、同センターを通じて、各社会貢献団体に寄付金を渡している。

追記・このサイトはその後閉鎖されました。
コンセプトはよくても、ビジネスとしてセイルツさせるのは、なかなか、難しいですね。




エコグッズが満載!!
MOTTAINAIオフィシャルECサイト。


環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが、2005年の来日の際に感銘を受けたのが「もったいない」という 日本語。「もったいない」は、Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rをたった一言で表せるだ けでなく、かけがえのない地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められているとして、マータイさんはこの美しい日本語を環境を守る世界共通語 「MOTTAINAI」として広めることを提唱した。
MOTTAINAIオフィシャルECサイトは、そんなMOTTAINAIキャンペーンの一環として運営されており、環境に配慮した商品が販売されている。また、商品の売上の一部は植林活動「グリーンベルト運動」に寄付される。
「MOTTAINAI」オフィシャルECサイト
「MOTTAINAI」サイト


地元のボランティア団体などを応援。
イオン「幸せの黄色いレシートキャンペーン」


イオン「幸せの黄色いレシートキャンペーン」
イオンでは、毎月11日のイオン・デーに、「「幸せの黄色いレシートキャンペーン」を実施しています。地域のボランティア団体などの名前と活動内容 を書いた投函BOXをお店に設置。買い物客がレジ精算時に受け取った黄色いレシートを応援したい団体の投函BOXへ入れると、買い物金額合計の1%が地域 ボランティア団体などに、希望する品物で寄贈されるしくみです。
サイトには、助成先団体の募集についても開催されています。
イオンのサイト
「幸せの黄色いレシートキャンペーン」






このような動きは、企業から見れば、いわゆる、コーズマーケティングの「コーズ(大儀)」の部分をNPO支援というかたちで表明しようというものですが、企業のブランディング活動としてもさらに広がっていくと思われます。

営利を目的とする企業活動と、非営利で理念実現のために活動するNPO、NGOは、本来的には目標を異にしており、思いを一致させるのは難しく、コ ラボレーションを進めるには、実際問題としては、課題も壁も多いと思います。しかし、それでも、これらの動きは、生活者ひとりひとりの社会参画のきっかけ になります。また、企業も、試行錯誤しながら、単なるマーケティング手法としてだけではなく、社会的存在としての責任を事業の中に反映していく取り組みへ とつなげていくことができれば、いいのではないかと思います。

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