2013年2月28日木曜日

風光る

俳句の季語で、「風光る」は、春風がきらきらと光り輝くように感じられることをいいます。陽光の踊るような明るさに、風にゆらぐ景色もまばゆく、春の到来のよろこびや希望を、吹く風に託した言葉です。





春というにはまだまだ寒い毎日だけど、光はふんだんに降り注ぎ、あたりの風景をまぶしく明るくする。寒気の残る風が光るという発想を誰が見出し、季語になっていったのかは、いろいろ調べてみてもよくわかりません。

そもそも、俳句の季語というのは、一定のものがあるわけではなく、歳時記によって内容が違っていたりもします。例えば高浜虚子、水原秋桜子など、有名な俳人が編集したものでも内容は違っています。現代俳句だと、また変わってきますし・・・。つまり、俳句の季語と言うのは、「各自の見識や感覚で決めている」ということになり、考えてみれば不思議な世界です。

でも、そんなことはさておいて、今日は、まさに「風光る」日でした。
もちろん風そのものが光っていたわけではありませんが、木々を見上げると、本当に風が光っているように見えました。昨日まで、茶色っぽくくすんで見えた緑が、今日は輝いている。そこに、確かな風の存在を感じました。




風光るとき水光り空光り 稲畑汀子 「ホトトギス」
転んでもすぐ起きる児や風光る 開田梅月 「馬醉木」
計画の旅路これより風光る 稲畑汀子 「ホトトギス」
朝凪の浪立つて風光る頃河東碧梧桐 「碧梧桐句集」
風光る胸まで流すなみだかな五島高資 「雷光」
風光る一瞬にして晩年なリ糸 大八



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