2012年10月17日水曜日

シニアが社会に役立つために。

今日の日経新聞で、「相次ぐ起業、高まる社会貢献意識   働くシニア、現場に密着」として、シニアの起業がとりあげられていました。
この記事では、日本のシニアの間にも、自らの経験などを生かして社会に貢献したいという思いを持つ人が増えてきており、日々、様々なソーシャルベンチャーが芽生えているとして、具体事例を紹介しています。最近、このような話題が増えていますね。

このようなシニアが増えてくることは、シニア自身の生きがいにとっても、また社会にとっても望ましいことだと思います。起業に限らず、地域活動やボランティアなど、シニアの活躍の場はたくさんあります。
しかしながらその一方で、シニアの社会参加には課題も大きいと言われており、そのひとつとして、長く企業勤めをしてきた人の場合、意識のシフトチェンジができにくいことがよくあげられます。


経験豊富なシニアへの、期待と不安の中身とは?

では、具体的に、何に期待し、何が不安なのでしょうか?
定年後の経験豊富なシニアの力をかりたいと思っているところのひとつに、人材不足に悩むNPOがありますが、そこでもシニアの活用には期待と同時に不安がある・・・そんなデータがありましたので、ご紹介します。

少し古いデータになりますが、文部科学省が行った「シニア世代活用」に関するアンケート調査です。(データ引用元:2009.3「再チャレンジのきっかけとしてのNPO雇用状況アンケート調査報告」 再チャレンジ学習支援協議会)


期待の中身。


「定年退職後のシニア」を求めているNPOは78%。多くのNPOがシニアの力を活用したいと考えています。

具体的に力を貸してほしいと考えている事項としては、以下のようなものがあげられていました。
・前職のスキル
・人脈
・組織運にすぐれた点を生かす

シニアが、現役時代に培った具体的なノウハウや人脈などの資産に魅力を感じているということが言えます。








不安の中身。 

しかし、下のグラフをごらんください。これは、シニアを雇うことへの不安を聞いた結果です。上位にあげられている不安材料は、表現こそ違えど、現役時代に形成された意識や習慣が抜けないのではないかということで、それがうまくやってけるかどうかの不安材料になっているという結果が出ています。
シニアへのニーズはあるけれども、実際にシニアを受け入れることには、不安がある。
ビジネスで培った経験は欲しい。でも、、「ビジネス分野でのキャリアや成功体験があるからこそ、そこからの意識転換が出来ず、新しい組織への理解や柔軟性が求めにくいのではないか」、という不安がある。そんな実態が浮かび上がってきます。


意識を変えれば、第二の人生がもっと充実する。

NPOだけではありません。先日お話を聞いた、キャリアシニアを専門に扱う人材派遣会社でも、同じような課題に直面していて、最初は「仕事があるだ けでもありがたい」「何でも、やります」と言っていたシニアが、徐々に給与条件や労働条件での不平をもらすようになることが多いのが悩みなのだそうです。

アメリカなどでは、重役まで行った人が、リタイア後、警備員や駐車場係などの仕事を始めた場合、陽気に楽しく働いて人気者になったりもする例が多いそうで、それはおそらく「ここからは、次のフェースだという切り替えがはっきりしている」のではないかということでした。

また、いまは、年金支給年齢との兼ね合いで、定年延長や再雇用が企業に義務付けられるようになりましたが、そこでも、肩書きを失ったり給与が下がっ たりすることにより、モチベーションが低下することが、ひとつの問題としてあげられ、企業の人事部の課題になりつつあるそうです。

あまりにも長くひとつの会社にいると、知らず知らずのうちに、ひとつの価値観や成功体験に縛られ、そのことさえ自覚できなくなりがちです。早く、そこから抜け出して、次の価値観を見つけることが、まずは、より有意義なセカンドライフへの第一歩ではないでしょうか。

<リンク>
日本経済新聞
「相次ぐ起業、高まる社会貢献意識働くシニア、現場に密着」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF13015_V11C12A0000000/

文部科学省・再チャレンジ学習支援協議会
「再チャレンジのきっかけとしてのNPO雇用状況アンケート調査報告」
http://www.npo-sc.org/PDFs/challenge/2008_challenge_enqute.pdf

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