2012年3月21日水曜日

大阪のおばちゃんに学ぶ。

それは、大阪に出張した時のこと。地下鉄で、お年寄り(男性)に席を譲ろうとした若い女性が、相手に断わられるシーンを目にしました。お年寄りは、「いや、結構」と、固い拒絶姿勢です。一度、立ち上がった女性は、再び座るわけにもいかないのか、困惑気味。結構、混雑した車内で、ぽつっとひとつだけ空いた席が妙に目だっています。

その時、少し離れたところにいた中年女性が人ごみをかきわけてやってきて、「いやぁ、ご主人、座らはらへんの?そしたら、私、座らしてもらおっかな?お姉ちゃん、かまへん?」と、ちゃっかり腰を掛けたのです。そして、「助かるわぁ。ほら、こんなに荷物持って、歩き回って、くたびれてねぇ・・。お姉ちゃん、ありがとねぇ」と、さかんに女性に話しかけています。

恐るべし、大阪のおばちゃん・・と、そのあつかましさぶりに、内心苦笑しながら、ちょっと緊張気味だったまわりの空気も、少しほころんだのを感じました。
「年寄りだから席を譲ってもらうのは当然」という感じの人もあまりいただけないが、せっかくの好意を素直に受け取らないのは、さらに人間的に未熟な気がします。ポリシーがあるのかもしれませんが、それにしても断り方というものがあると思いました。

「ありがとう。でも、私は、次に降りますから」とか、「健康のために、立つことにしてるんですよ、お気持ちだけいただきます。どうぞ、おかけください。」とか、年配者なら、これくらいの配慮は欲しいものです。

ビジネスの世界でも、会社の看板など「強い立場」を利用して、無理を強いたり、自分の主張を強引に通そうとする人がいます。そういう人は、社内では、手腕があると言われるのかもしれないですが、私はあまり仕事が出来ると感じません。

自分の主張を通すことは、一見、できる人のように見えますが、その裏で、誰かが我慢したり、いやな思いをしたり、あるいは不利益を甘受していることに思いがいたらない、そのイマジネーションのなさは未熟だと思います。きっと、いざと言うときに、力を貸してくれる人は少ないだろうな・・・と。

本当に仕事が出来る人、交渉力のある人とは、立場を利用して主張ばかりを通す人ではなく、かといって、一歩引くばかりの人でもなく、実は、あの大阪のおばちゃんのような人かもしれないと、思った次第なのでした。

だって、まわりを和ませ、一応老人にも仁義を切り、落としどころを失った女性を救い、自分は席をGETしたわけですから。それに、何よりもチャンスを見逃さない、目ざとさと行動力。すごいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

いただいたコメントは管理者が確認してから公開させていただいています。内容により、掲載させていただかない場合もありますので、ご了承のうえメッセージをお願いします。